『大怪獣のあとしまつ』鑑賞予定で下ネタが嫌いな人は悪いこと言わないのでこれを読んでほしい。

私の住処からは、気軽にアクセス出来る映画館が二つある。

内一方の映画館はクーポン制度が充実しており、誕生日には鑑賞料金が1000円になる電子クーポンが配られ、そうで無くとも有料で映画を鑑賞すると次回以降使える1200円クーポンが貰えるという、お金の使い道が多すぎるオタクにとってありがたい仕様である。

 

h120106-blackhorse.hatenablog.com

 

先日の『深罪の三重奏』もこの映画館で見たのだが、この時の私はクーポンの仕様を完全に理解しておらず、1000円クーポンで鑑賞すれば良い物を、期限切れが近い方だった1200円クーポンで鑑賞していた。有料鑑賞すればいくらでも貰えるというのにだ。

結果私の手元に残ったクーポンは、誕生日から2ヶ月の間だけ使える1000円クーポンと、新たに配られた2ヶ月期限の1200円クーポン、そして6本有料鑑賞特典の、最後の有料鑑賞から半年は期限が保証される無料鑑賞券の3枚。

この1000円クーポン、当然使わない選択肢も存在するが、そうはいってもここで無視すれば、期限が切れた後に残るのは「200円の無駄遣い」という結果だけ。ここで新たに1000円クーポンを使った方が、オタクの精神衛生には優しい。と、少々無茶のある理論構築で、1000円クーポンの使用を決めた。

 

だが問題なのは何を見るかだ。公開が間近の『仮面ライダーOOO 復活のコアメダル』も候補に挙がったが、惜しいことに公開日はクーポンの有効期限が切れた後だった。頭を悩ませていたところ、先の『深罪の三重奏』の記事を公開したのと時を同じくして、Twitterである映画が凄まじい酷評を受けていた。

 

『大怪獣のあとしまつ』。市民の日常と平和を蹂躙していたが、突然死亡した大怪獣の死体処理を描くというこの映画は、私も情報公開時からずっと気になっていた映画の一つだった。

だがいざ公開されてみたら、Twitter上では頭を抱える人々がTLに溢れ、感想ツイートも「令和のデビルマン」だの「俺は好きなヤツ」だの賛否両論の嵐。

デビルマンを全く知らないのでその手の話題はさておくが、この賛否両論もどう見ても否の意見が多く、これは鑑賞には相当の覚悟が要りそうだと感じた。

しかし先述したとおり、まだ私の手元にはタダ券が残っている。もしこの映画が酷い物だったとしても、この先別の映画をタダ券で見れば、「大怪獣は実質オマケのタダ券で見た映画」と予防線を張れる。

そんなオタク特有のガバ理論を再び展開した私は、この映画の下馬評を承知の上で鑑賞した。

 

自分があれほどフィクションにブチ切れることがあるとは、この時は全く思っていなかった。

 

 

これは劇場鑑賞直前のツイートである。まあこの時点である程度の覚悟が垣間見える。

さて、次のツイートが劇場を出てすぐのものである。

 

 

ツイート時刻を見ると、まだ直前のツイートから1時間半程度しか経っていない。このツイートが劇場内でされたなら、そのツイートをした人間は上映中にスマホを起動するという劇場マナー違反を犯していることになる。

 

お察しの通りである。

 

私は上映途中で退席した。

 

すぐに退席出来る通路のすぐ脇の席を取っていたのは本当にファインプレーである。

 

まずこの映画を「シン・ゴジラが削ぎ落とした要素を全部入れてそれが全部滑っている」と評した人は全く以て正しい。だがそうした感想はもう他の鑑賞者が書き連ねているだろう。

今回はタイトルにもある「下ネタ」に限った話をする。

 

この作品、本当に10分に1回は下ネタが投下されていたのだ。話が進む度に気分が悪くなり、何故Twitterで感想をツイートしていた人々は、この下ネタの中身と量まで言及しなかったのかをひたすら恨んだ。帰りにTwitterで検索したら、この映画を鑑賞したAV女優すらも苦言を呈していた。

 

今後この作品を鑑賞する予定がある皆さんの中には、下ネタに対する嫌悪感を抱く方も少なくないはずだ。と言うわけでこの記事では、注意喚起を兼ねて、この作品に出てきた下ネタを、引用機能を用いて記憶の限りひたすら羅列する。

我慢出来なくなった人は引用欄が切れるまで飛ばしても構わない。その時点でこの映画を見るのは、全くおすすめ出来なくなるからだ。

 

何かにつけて分かりづらい例え話をする大臣の、「セックスした回数を別れた彼女の数で割るようなもん」だの「石鹸の泡は陰毛でよく泡立つ」だのという下品な例え話。資料と間違えてグラビアビデオを流す一幕もあったが、それも下ネタに該当するかもしれない。

 

環境大臣が安全性を証明する為に大怪獣の死体の上から中継するシーンがあるが、その最中に足を滑らせ、大怪獣の致命傷となった傷穴に頭から突っ込んで犬神家状態となっていた。スカートを履いていたので、結果自身の下着を全国に生中継で晒す羽目に陥った。

 

大怪獣冷凍作戦の最中に大怪獣の表皮が膨張、破裂し、周囲が悪臭の被害を被った。その悪臭の正体がウンコの臭いなのかゲロの臭いなのか、官邸に詰め寄った記者と何故か激論。最終的に間を取って(?)銀杏に落ち着いた。

 

大怪獣の悪臭をダム決壊による水流で洗い流す作戦にて、流れた水流が大怪獣の体内を通った結果、恐らく肛門と思しき器官まで水が到達し排出される。まるで浣腸のようであり、その水によって虹が出来ていた。

 

禁止区域に不法侵入した動画配信者が大怪獣の体液を大量に浴び、体表面から大量のキノコが生殖。隔離施設に全裸で収容されていたが、その様子を映した映像は、病人の陰茎に雑なモザイク処理(画角が固定されていてもモザイクがぶれるレベル)がされていた。さらにその陰茎を指し、1ヶ所だけキノコの種類が違うと指摘するギャグが、環境大臣と映像を見た総理大臣によって天丼された。

 

このシーンの直後、私は劇場を後にした。

 

これ以降は、私のこの作品に対する所感である。

 

この作品、主演がHey! Say! JUMPの山田涼介くんなので、当然彼のファンも鑑賞しているのだが、ジャニーズなので女性ファンが多いことは容易に想像出来る。彼女たちは本当にこの下ネタの連続を我慢出来たのか。出来たとしたら恐ろしい精神力の持ち主であり、文句無く尊敬に値する。

 

そして恐ろしいのはこの映画が、R15どころかPG12指定もされていなかった点である。私が見ていた回は普通に小中学生と思しき子供も居た。子供に見せられる度合いを凌駕しているとしか思えないのに。もはや映倫にすら怒りが湧いてくる。

 

とにかく、『シン・ゴジラ』が既にこの世に存在し、『シン・ウルトラマン』が公開を控える中、このような予告を公開したのなら、普通の人間は庵野監督による上記2作を連想し、それらと同じ方向性を期待するのは道理である。だというのにシン・ゴジラを期待した観客にこのような唾棄すべき汚物を見せつけるのは、コウノトリを信じる純粋な子供に云々というネットスラングと同じような行為である。

 

こんなオタクに媚を売るような予告を作るなら、オタクの需要を理解し、応えるストーリーにしていただきたい。もしくは最初から、先日金曜ロードショーで放映された『新解釈・三国志』の予告がコメディ路線を全く隠さなかったように、汚さを全面に出した予告にしていただきたい。

これは最早、前売り方式という映画館のシステムを悪用する、詐欺に等しいのではなかろうか。

 

これにて、この映画に関する話は終わりということにしたい。正直、思い出しただけで食欲が失せる炎上商法の果ての産物など一刻も早く忘却したいのだが、私のような被害者をこれ以上出さない為に、ここまでキーボードを叩いていたのである。

 

序盤にあれだけクーポン談義をしたが、もちろんタダ券扱いだ。昨晩の金曜ロードショーの『クール・ランニング』は本当に良い清涼剤になった。早いところTSUTAYAから借りた『シン・ゴジラ』でも見て、完全にデトックスを終えなければならない。

 

そしてこの映画に関して最も腹が立つのは、Vシネセイバーの方がよっぽど面白かったというのに、この記事の文字数に、前回の記事の2倍以上費やしている点である。

褒め言葉より悪口の方がボキャブラリーが活性化されるのはどういうことなのか。誰か『オタクの言語野のあとしまつ』など作ってみてはいかがだろうか。当然、下ネタも政治批判も本筋に関係無い恋愛ネタも、一切無しで。